カジュアルに時にフォーマルな名古屋帯
和装になる機会はほとんどなくなっています。
着物すら持っていない人も多い中、たまに街中で見かける和装の装いには目を引くものがあります。
そのなかで、着物の生地の色具合に合わせた帯は、華やかなものから落ち着いたものまで様々で、中にはどうやって結んだのだろうといった複雑な形の帯を巻いてる方もおられます。
帯はもともと細長い長方形のやや硬く厚みのある布でできているので、簡単そうに見える四角形のお太鼓ですら、慣れない人が結ぶのは、時間がかかり一苦労なのです。
ところで、お太鼓の部分の大きさはそのまま、胴に巻く部分を半分の巾に仕立てた帯があるのはご存じでしょうか。
それは名古屋帯と呼ばれています。
胴に巻く部分を半分に折らなければならない袋帯とは違い、もともと半分であるので、軽量化され、着る際の手間が省け、時間も短縮できます。
これは、大正時代に名古屋の女学校を創設した女性が考案したもののようです。
あの時代はまだまだ和装で仕事をするのが一般的でした。
先生は忙しい仕事の上に、身支度にも時間がかかることが負担で、それを軽減させるために仕立てたようです。
旧態依然な和装に新しい発想を取り入れて実行するなんて、とても感心します。
そして、この名古屋帯は多くの方に重宝がられ全国に普及していきました。
ただ、この帯は太鼓の部分が一重にしかならないので、結婚式のような重ねるなどの縁起を担ぐ場面では好まれない傾向にあるようです。
ちょっとしたお出かけやパーティー、普段のお買い物にと、カジュアルな使い方で締めるのに最適なのです。
中には帯の柄や生地の良し悪しでフォーマルにも活用できることもあるようです。